匠直伝!ズバッとわかるテクニック

回転技・飛び技+α

さまざまなテクニックのコツを、その技のエキスパートに聞く「匠直伝! ズバッとわかるテクニック」。 今回のテーマは「回転技」や「飛び技」などのスペシャルテクニック。解説を務める匠は、ファンを魅了する華麗な技を駆使して第12、13回全日本ウエイト制大会の軽量級で準優勝に輝き、第1回カラテワールドカップ代表にも選ばれた茂木浩之弐段です。


大技は、モーションを小さくして打とう!

現役時代、私は後ろ蹴りと後ろ廻し蹴りを多用していました。とくに後ろ蹴りは生命線で、あらゆる蹴り技の中で最も破壊力のある技だと確信を持って言えます。試合の序盤でも、ピンチになった時でも、ひじように頼りになる技だと思います。
また、後ろ蹴りをベースとして、その中に後ろ廻し蹴りを織り交ぜていくことで、どちらの技も使い勝手が格段に上がります。ぜひ、両方習得するようにしてください。
回転技、飛び技の両方に共通している特徴は、威力が大きい反面、モーションが大きいということ。そのため、技を出す前の予備動作を極力小さくすることが大切です。
 たとえば後ろ蹴りや後ろ廻し蹴りは、相手の肩の動きに注意を払うことで、出すタイミングに気づくことができます。つまり逆に言えば、その肩の動きを隠せば読まれにくくなるということです。モーションをなくすことは不可能ですが、防御の動作から自然と技の予備動作に入るなど、相手に悟らせない方法はいくらでもあります。たくさん稽古して華麗な技を実戦で決めてください。

”攻”と”受”のアイコンについての説明

このページで紹介する技術は、次の2つに分けることができる。
身につけたい技術を探す参考にしよう。

攻
自分から仕掛ける攻撃
受
相手の攻撃に合わせるカウンター

後ろ蹴り・後ろ廻し蹴りの基礎知識

今回紹介するテクニックの中で、とくにコツが必要な後ろ蹴りと後ろ廻し蹴り。
稽古する前に、これだけは知っておこう!

STEP1
後ろ蹴り・後ろ廻し蹴りの
基本フォームは?

STEP2
モーションを小さくしよう

回転する時に下半身を上半身で引っ張るような意識で蹴る。慣れたらなるべく上半身の動きは使わず、ヒジで引っ張るようなイメージを持つ。軸足のカカトは上げること(@)。ヒザは開き気味にして、抱えるようにする(A)。後ろ蹴りはカカトを、後ろ回し蹴りはカカトから足裏にかけてを叩き込む(B)。後ろを向くため視線が標的から外れる瞬間があるので、当てる場所のイメージを強く持つ。蹴っている瞬問を見るように意識するといい。

 

後ろ廻し蹴りを放つために踏み込むと、モーションが大きくなって相手に読まれやすい。慣れてきたらなるべく踏み込まず、ヒザの溜めだけで蹴るようにしよう。



パターン3
フォームを整えよう

後ろ蹴り・後ろ廻し蹴りは、慣れないうちは体の軸がブレやすい。そのため、手すりなどに捕まりながらフォームを整えると、上達が早くなる。@まずは横蹴上げ。股関節の動きが、回転系の蹴り技に直結している。それができるようになったら、A後方ヘカケ蹴り。もしくは、B相手にお尻をぶつけるような感覚で後方へ蹴り。これで軸足の操作方法のコツが覚えられる。

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回転技の基礎テクニック 

後ろ蹴り・後ろ回し蹴りの基本的なバリエーション

パターン1 攻
後ろ蹴り

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@後ろ蹴りは、近い間合いいから放つとモーションを読まれにくい。Aヒザを抱えるようにしながら回転し、Bカカトを突き刺す。右足の後ろ蹴りだとレバー(C)やみぞおちを狙えるので、より効果的だ。



パターン2 攻
後ろ廻し蹴り

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@後ろ蹴り同様。後ろ廻し蹴りも近い間合いのほうが決まりやすい。Aヒザを抱えるようにしながら回転し、B大きな円を描くようにして、上段へ後ろ廻し蹴りを見舞う。足首を伸ばして蹴ると、よりスピーディーに蹴れるようになる。CD円の延長線上を意識するように、フォロースルーを大きくする。フォロースルーが大きいと、威力が高まり、スピードも乗りやすい。



パターン3 攻
下段蹴り→後ろ蹴り

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後ろ蹴りのコンビネーション。@構えた状態から、A後ろ足で下段蹴りを見舞う。B足を戻したら。Cすかさず後ろ蹴りのモーションに入る。下段蹴りからテンポよくつなぐことを意識する。D後ろ蹴りをボディへ突き剌す。同じ足での連続蹴りで、なおかつ対角線上を攻めているので、相手の意識を散らせやすいコンビネーションだ。



パターン4 受
突き連打へのカウンター

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相手の油断を突いて後ろ廻し蹴りを叩き込む。@相手が突きを連打してきた。すぐに対処するのが基本だが、Aあえてさらに攻めさせる。突きをさばきつつ、反撃のための溜めをつくっておいて、B後ろ廻し蹴りのカウンターを見舞う。相手の攻め気の裏をかくため、うまくはまれば一瞬で逆転することも可能だ。




回転技の応用テクニック

匠が伝授する、試合で役立つスペシャルテクニック

パターン4 受
下段払いからのカウンター

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@構えた状態から、A相手が蹴りを見舞ってきた。これを下段払いでさばく。左の蹴りは左手、右の蹴りは右手でさばくこと。Bさばいた足を、自分の足の外側に置かせる。自分は一歩も動いていないが、これで相手の死角に位置取ることができる。この時、ヒザの溜めをつくって反撃の準備をしておくこと。C後ろ廻し蹴り、もしくは後ろ蹴りを見舞う。D別バージョンとして上段廻し蹴りのカウンターも使い分けておくと、相手の意識がそらされて回転技が決まりやすくなる。



パターン2 受
カウンターの飛び後ろ廻し蹴り

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@構えた状態から、A相手が下段蹴りを放ってきた。足を引いて、これをかわす。B間合いが遠くなっているため、C斜め前方に飛んで一気に距離をつめる。同時に回転し、D後ろ廻し蹴りを放つ。前に飛ぶ勢いがついているので、仮にガードされたとしても相手の体勢を崩すことができる。




特殊な足技

決まれば一発逆転も!+αの足技集

パターン1 攻
胴廻し回転蹴り

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@構えた状態から、A上体を斜め下へと沈みこませる。Bその勢いを利用し、転がるようにして胴廻し回転蹴りを放つ。くるぶしから足先を、相手の顔面に正面からぶつけるようなイメージで。最近は縦回転の胴廻し回転蹴りが使われることが増えたが、ベースとなるのは横回転。こちらもしっかり覚えておきたいところだ。



パターン2 攻
カカト落としのコンビネーション

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コンビネーションで意識を散らし、カカト落としの命中率を上げる。@構えた状態から、A突き、B中段廻し蹴り、C突きと連続して見舞う。これで相手の意識を下へと移させる。D中段廻し蹴りと同じ足で、外廻しのカカト落としを叩き下ろす。中段廻し蹴りと外廻しのカカト落としは軌道が近いので、決まりやすい。カカト落としは足首を曲げ、カカトを鋭角にしてぶつけると威力が上がる。



パターン3 攻
飛び足刀横蹴り

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@開始線に戻った直後など、相手との距離が離れている時、A一気に距離を詰めて飛び上がり、B飛び足刀横蹴りを放つ。Cは、Bを別角度から見たところ。モーションは大きいものの、もし当たれば効果は絶大だ。




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