匠直伝!ズバッとわかるテクニック
基本稽古
空手の命は組手にあり、組手の命は基本にあり。
基本稽古はすべての土台になる、もっとも重要なものだ。 今回は基本稽古での蹴りを紹介する。
この春に入門した人も、忘れてしまった人も、しっかり学んで身につけよう。
講師:藤原康晴師範 Text/人見武士 Photos/堀田春樹
前蹴上げ
@足を高く振り上げる動作である。前屈立ちになり、両手で帯の横を握る。親指を帯に引っ掛け、人差し指で挟むように軽く握る。強く握ると肩の力みとなるので注憲しよう。A右足を正面からヒザは伸ばしたまま振り上げる。足首を伸ばして中足をしっかり返すこと。B組手では相手のアゴを蹴るが、稽古の際は太ももを自分の胸にぶつける気持ちで頭よりも高く上げ、柔軟性とバランスカを養う。C振り上げた足をもとの位置に戻して前屈立ちになる。蹴り足を戻した際、ふらつかないように気をつける。 |
外廻し蹴り
@平行立ちになり、両手で帯の横を握る。A右足の親指を返して足刀を作り、外から旋回させながら、親指の付け根からカカトまでの部分で相手のコメカミを蹴る。また、相手の攻撃を底足で受ける際にも使われる。ヒザが曲がらないように注意しよう。B大きく円を描くように振り抜く。床に足を下ろす際はバタンと音を立てずにつま先から静かに下ろす。 |
内廻し蹴り
@平行立ちになり、両手で帯の横を握る。A右足の親指を返して足刀を作り、内から旋回させながら、足刀で相手のコメカミを蹴る。ヒザが曲がらないように注意しよう。B外廻し蹴りと同様に、大きく円を描くように振り抜く。 |
前蹴り
@平行立ちになり、両手で帯の横を握る。A右ヒザを胸元で抱えるようにして上げ、Bヒザのスナップを利かせて中足で相手のアゴを蹴る。 |
横蹴上げ
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@前蹴上げの横バージョン。平行立ちになり、両手で帯の前を握る。A右足の親指を返して足刀を作り、ヒザを曲げずに横に大きく振り上げる。足で蹴るのではなく、骨盤ごと振り上げ、腰で蹴る。その際、しっかりと相手のほうを見る。できるだけ高く振り上げることを意識しよう。 |
関節蹴り
@平行立ちになり、両手で帯の前を握る。A足刀を作り、体の横で右ヒザを抱えるようにして上げる。Bそのまま横に一直線に出し、相手のヒザを正面から、内外の靭帯を蹴る。低いところを蹴るが、足ではなくしっかり腰を入れて蹴ること。 |
横蹴り
@平行立ちになり、両手で帯の前を握る。A足刀を作り、体の横で右ヒザを抱えるようにして上げる。Bそのまま横に振り上げ、相手のアゴを蹴る。しっかりと相手のほうを見ること。足の指が上を向かないように気をつけよう。 |
後ろ蹴り
@平行立ちになり、両手で帯の前を握る。A後方を肩越しに見て蹴り足を抱える。B抱えたヒザが体からはみ出さないように気をつけ、一直線に蹴りを出し、カカトで相手のアゴを蹴る。蹴りが一直線に出ていると、正面から見た場合、足が体に隠れて見えなくなる。 |
廻し蹴り
@平行立ちになり、両手で帯の前を握る。A中足を反らしてヒザを引き上げ、B軸足を返しながら抱えたヒザが自分の正中線にきたらヒザを伸ばし、相手の顔面を蹴る。組手では背足で蹴ることが多いが、基本は中足を返して蹴る。ただし、足首は曲げずにまっすぐにすること。C相手の顔面を蹴る。蹴りが正面から出ると前蹴りになってしまうので、横から出るように意識しよう。 |
以上で基本稽古は一通り終わりです。
基本稽古は、正しい手足の動かし方や安定した軸を身につける大切な稽古です。とくに、この春から道場に通うことになった人たちは、しっかり取り組んでください。地道な作業の繰り返しこそが、強さへの第一歩となります。強くなればなるほど、基本稽古の奥深さがわかってくると思います。
また、前編でお伝えした道場での作法も大切です。最初にもお伝えしたように、ここで紹介したやり方だけが正解というわけではありません。道場ごとにそれぞれのやり方があるので、先生や指導員の教えにしたがって取り組んでください。
そして、当たり前のことですが、先生や指導員、先輩を敬い、後輩にはやさしく接する。道場での礼儀礼節をしっかりして、稽古に取り組んでください。ただ強くなるだけが空手道ではありません。強さと一緒に、他人への思いやりや、やさしさも身につけられるようにしてください。
それでは、楽しく、そして真剣に空手道を歩んでください。
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