―まず、男子軽量級から振り返っていただけますか。 三好 この軽量級では、まずはヨーロッパ軽量級チャンピオンのポポフ選手対小宮山大介選手の第8回世界大会以来の因縁の対決が見られるのではないかという期待がありました。それに日本の軽量級チャンピオンとして出場した山本健策選手がどこまでやるのか。さらに、第36回全日本大会でカムバックした谷川光選手がどういう闘いをするか。そのあたりに注目して見ていました。ところが、ポポフ選手と闘う前に小宮山選手が負けてしまいましたね。結局、そのポポフ選手を準決勝で止め、軽量級の頂点に立ったのが谷川選手でした。
奥村監督からワールドカップが終わってレポートが来ましたが、このレポートによれば、ワールドカップ前に月1回のペースで計4回やった関東強化合宿の出席率を見てみますと、全部出たのは谷川選手だけだそうです。谷川選手はそういう心構えからして違っていたという気がしますね。
―そういった心構えのほかに、優勝した谷川選手にあって、ほかの選手になかったものといえば、それは何だと思いますか。
三好 一つは谷川選手は無差別の圧力にたえられるものをもっているということでしょう。どんなタイプの選手を相手にしても負けない組手といいますか、打たれ強さ、第6回世界大会では3位に入賞してますが、そういうところがほかの3人との差になってあらわれたのではないかと思います。
―逆にほかの3人はどこで負けてしまったのでしょう。
三好 やはり総合的な体力の差といえますね。3選手とも体力、スタミナ負けという部分がもろに出てしまったような気がします。山本選手は無差別の全日本に出るなどして、そのあたりの対策に一生懸命取り組んでいましたが、それでも及ばなかったですね。
―小宮山選手の場合は、旗の数を見ても延長まではややリードしているかなという感じはしましたが、再延長になってから雲行きが怪しくなりました。
三好 いずれにしても、あの選手(アディン・ノヴルゾフ)には勝ってほしかったですよね。相手はロシアの19歳の選手ですし、小宮山選手から見れば格下だと思うんです。それでも負けてしまった。小宮山選手にとって今回の敗北は屈辱だと思うんですけど、その屈辱をバネにして這い上がってもらいたいと思います。今回の小宮山選手、平野選手、山本選手の試合を見て、軽量級の課題として残されたのは、総合的な体力をもっと底上げしていかなくてはいけないということです。これはこれからの強化稽古の最重要課題だと思いました。
―谷川選手は優勝候補の筆頭といわれていたポポフ選手に準優勝戦であたるわけですが、この一戦はいかがでしたか。
三好 結果的には板1枚の差での勝利でした。ポポフというケタ外れに強い選手を相手に試割り判定までもっていくということ自体が、谷川選手の底力を示していると思います。
―35歳にして、若きポポフ選手と互角以上にわたりあった谷川選手ですが、組手面で優れている点はどこでしょう?
三好 ポポフ選手の強烈な突きとか下段廻し蹴りをまともにもらうことなく、うまくさばき、中に入って離れなかったところですね。離れてさがってしまうとどうしても強い蹴りをまともにもらってしまう。そうさせないために、中に入ってうまくポポフ選手の間合いをつぶしていました。これができるのも、中に飛び込んでいって耐えられるだけの技術、腰の強さ、体力が谷川選手にあるということなんでしょうね。あの破壊力では普通なら中に入らせてもらえない。いずれにしても今回の谷川選手の戦い方以外にポポフ選手に勝てる方法はなかったと思います。それをやってのけたところに谷川選手の勝利があったといえますね。
―決勝で戦ったロシアのヴァシリ選手も強かったですね。
三好 決勝も差はないですよ。試割り判定ですからね。それでも勝てたのは谷川の執念じゃないですか。組手でいえば、完璧に相手の間合いをつぶしていたところがよかったと思います。普通なら速い前蹴りや強い突きがありますから、あそこまでなかなか入っていけないんですけど、それをきちんとさばいて中に入っていく。その技術はさすがは谷川といえるものですよ。ですから、谷川選手は外国の選手からみるとやりにくい選手だと思います。自分では組手をさせてもらえない距離なのに、その距離から谷川選手の突き、蹴りが出てくるわけですからね。それにしても、ヴァシリ選手はポポフ選手とならんですばらしい選手でした。ヴァシリ選手は第19回ウエイト制大会に出て準優勝をしている選手ですよね。はるばる日本に来て、ウエイト制大会に出る、そういう向上心をもっている選手です。中量級で優勝したヴァレリー選手もそうですが、日本から学ぼう、吸収しようとする選手はやはり恐いですよ。もう日本と外国との実力差はほとんどなくなってきてますけど、それでもやはり日本の武道精神というものを学ぼうという貪欲な姿勢がすばらしい。こういった姿勢は逆に日本の選手が見ならわなければならないと思います。
―軽量級で日本が王座を守ったことに関してはいかがでしょう。
三好 良かったというよりも、解説の二宮清純さんの言葉を借りていうと「薄氷をふむような勝利」だったと思います。今回のワールドカップの全体の結果をみると、男女6階級のベスト4入賞者24人のなかに日本選手は13人入っています。この数字だけみれば、たいへんすばらしい結果ですよね。しかし、一つひとつの試合を検証してみると、それほど喜んでもいられないと思います。
―中量級はいかがでしたか。
三好 中量級は山田一仁選手と保本学選手がウエイト制大会の優勝、準優勝者として出場したわけですが、私としてはそのあと代表に選ばれた佐藤、竹澤の両ベテランにも密かに期待してたんです。山田選手、保本選手でちょっと気がかりだったのは、国際大会の経験があまりないということでした。逆に佐藤選手と竹澤選手はその点で頼りになる存在でした。佐藤選手は、持ち前の安定した組手からひょっとしたらヴァレリー選手も止められるのではないかという期待もありました。しかし、ヴァレリー選手は強かったですね。もう少し互角の勝負ができるかなと思っていたんですけど、あまりにもあっけなく本戦で決まってしまいました。この一戦の結果が外国人の方へ流れを変えてしまったのかなと思っています。

奈良強化合宿での監督、コーチ陣の打ち合わせ |
―そのヴァレリー選手に、今度は準決勝で保本選手が挑むわけですけど。
三好 一回戦、二回戦を見る限り、保本選手は調子良かったですよ。準決勝でのヴァレリー選手との本戦前半も左の足をいい蹴りでとらえていました。それで、ひょっとしたらこのままいけるのではないかと期待したんですけど、ヴァレリー選手が反撃に出てからは一方的になってしまいましたね。あのときに、いやあヴァレリーは強いなと思いました。ヨーロッパ大会のときよりももうひとまわり強くなっているような気がします。あれほど調子の良かった保本が本戦であんなに簡単に敗れるわけですからね。
―竹澤選手はいかがでしたか。
三好 竹澤選手は一回戦、二回戦とも真っ向勝負の組手をやって、自分の力を出してくれたんじゃないかと思います。ただ、準決勝では、右のガードがさがるという欠点が災いして、相手の上段後ろ蹴りをまともに顔にもらってしまいました。あそこまではなんとか食らいついていけてたんですが、あの一発が決定的な相手の有効ポイントになりましたね。外国人の選手はどの距離から蹴りが飛んでくるのかわからない。日本人ですとあの距離からは絶対にこないし、しかも日本人だったらあのような後ろ蹴りはボディにくるんですが、外国人選手だと顔にきますからね。竹澤選手もあの後ろ蹴りは見えなかったと思います。いま思えば、右手一本が顎まであがっていればなあと悔やまれます。試割り数も同じでしたし、ひょっとしたら最終延長ということもあったのではと残念ですね。
―日本の中量級の期待の星として出場した山田選手はいかがでしたでしょう。
三好 大会前に左小指を骨折してたらしいんですけど、そのような怪我をしたのは不運でした。そういうところから勝負は始まっていますからね。それに山田選手の場合は国際大会の経験不足で、大舞台で多少のまれたんじゃないかという気がします。いずれにしても彼本来の組手ができませんでした。奥村監督のレポートにも、「これからは有望選手には海外での経験をさせるべきだ」ということが書かれていましたが、山田選手にもこうした経験をもっと積んでもらって、世界の中量級のエースになってもらいたいと思います。
―大会前の予想では、中量級が戦力的にいちばん充実しているとの見方をする人も多かったんですけど。
三好 私はそれも佐藤とヴァレリー戦次第だと思っていました。佐藤選手がソリー・ソーコ選手とヴァレリー選手を止めてくれたら中量級は日本の優勝だったでしょうね。だけどヴァレリー選手に佐藤選手、保本選手がやられ、アレクセイ選手に山田選手、竹澤選手がやられてしまった。アレクセイは山田選手の力からすればとめて欲しかった。怪我のこともありますが、やはり経験不足ですかね。
―優勝したヴァレリー選手についてはいかがですか。
三好 それはもうオールマイティといえる選手でしょう。離れてよし、くっついてよし、長身からくりだす蹴りにしても突きにしてもすばらしい。 蹴りの選手と思われがちですが、塚本選手を破ったのも突きですし、鋭い突きも彼の武器ですね。決勝戦で一本をとったヒザ蹴りも完璧でした。あとは後ろ廻し、カカト落としと上への蹴りも多彩ですし、攻勢に出た際の集中力も並外れています。つけいる隙がないというか、彼の組手は完成の域に達しているといえますね。
―今大会のヴァレリー選手の試合をみると、すべて本戦で勝っています。
三好 世界各地区を代表する選手の集まりのなかで、本戦で全部勝つというのはやはり抜きん出ています。2年後の世界大会は大変じゃないでしょうかね。彼はまだ23歳です。今回はだいぶしぼって中量級で出てきましたが、世界大会では85〜86キロで出てくるでしょう。そうなると無差別の世界チャンピオンになる可能性も大いにあります。今後、日本が最もマークすべき選手の1人です。それにブルガリアのヴァレリー選手やポポフ選手は強さだけではありません。とても礼儀正しいんですよ。ヴァレリー選手は過去に緑代表の道場で修行するなど、研究熱心さもあります。そういう姿勢をもっているだけに、なおさら脅威だといえますね。
―ワールドカップを終えて、日本の中量級に残された課題は何でしょうか。
三好 若手選手の育成ですね。幸いにも中量級では佐藤、竹澤の両選手のあと、山田選手、保本選手といった有望選手が育ってきています。保本選手などは強化稽古で世界大会代表選手と練習する機会をもつことで、ずいぶんと成長しましたね。ワールドカップでも彼本来の動きを見せてくれました。実は、保本選手も山田選手も第8回世界大会の強化合宿に任意参加していた選手なんですよ。実際、そういう意欲的な選手がワールドカップの代表に選ばれています。7月30日には全日本ジュニア大会がありますが、この大会で素質のある選手をピックアップして、第8回世界大会代表とかワールドカップの日本代表などを交えて選手層の強化に取り組みたいと思っています。

塚本選手がデニス選手を上段廻しで倒す |
―重量級はいかがでしたか。
三好 極端にいえば、ほかの階級はすべて外国勢にもっていかれたとしても、絶対にとらなくてはいけない階級が重量級でした。
―おそらく重量級では塚本対デニス戦が鍵を握ると大会前のインタビューでおっしゃっていましたが。
三好 そうです。総合的にみていちばん恐いなと思ったのはデニスだったからなんですね。今回の重量級代表は日本の新極真会の最強メンバーで臨むことができたと思いますが、なかでも二回戦のこの闘いはワールドカップ最大のハイライトだったと思います。また、二人はそれにふさわしい試合をしてくれました。私はあの試合の主審を務めさせていただきましたが、二人とも試合場にあがってきたときは顔がまっ白でした。そのくらい相手を意識しているということです。デニス選手は緊張のあまり前の日に一睡もできなかったと言っていました。デニスは前回のワールドカップのチャンピオンですが、この塚本選手に勝たないかぎりは真のチャンピオンとして認められないという思いもあったんではないかと思います。一方の塚本選手からはなんとしてもここで止めなくてはいけないという気迫が伝わってきて、二人が試合場にあがってきたときには両者の殺気を感じましたね。
―そのなかで塚本選手が一本勝ちという見せ場をつくってくれました。
三好 あの時は会場がどよめきましたね。自分も「一本!」とコールするときに鳥肌が立ちました。大舞台の大勝負で一本勝ち、塚本選手はつくづくそういう強運の星のもとに生まれた選手だと思いました。会場の人たちがいちばん求めていることをやってのけるわけですからね。やはりただものではないすばらしい選手だと思いました。
―塚本選手の今大会の組手を見てどう思いましたか。
三好 組手全般は富士山でいえば五合目くらいまで回復してきたかなという感じです。しかし、彼の力量からいったらまだまだです。こういうレベルで終わる選手ではないと思っています。
―塚本選手と塚越選手の準決勝戦はどう見ましたか。
三好 延長に入って、塚本選手の腹に塚越選手がカウンターで一発いいのを当てたんですよ。それから塚本選手がおかしくなったんですけど、デニス戦で胸骨を傷めていたところに塚越選手のカウンターが入ったようですね。
―小泉選手はいかがでしたか。
三好 やはり、ドナタス選手の壁は厚かったですね。はねかえされたという感じです。あれだけの巨体なのに前蹴りが器用で速いですからね。速くて長いリーチですからさばききれなかった。ドナタス選手の前蹴りはタメがきいていて、よく伸びるんですけど、それがけっこう中段に当たっていました。それで動きをとめられてしまったという感じですね。
―鈴木選手はそのドナタス選手と準決勝で対戦することになるわけですが…。
三好 私はこの一戦も楽しみにしてたんです。安定感では随一の鈴木選手ですから、きっとうまくさばいて、止めてくれるだろうと思っていたんですけど、鈴木選手がドナタス選手の左の中段廻しで動きがとまったのにはびっくりしました。あの一発で勝負が決まりましたね。
鈴木選手は自分が敗れることでドナタス選手を止めることができなかった、申し訳ないという気持ちが強かったんだと思います。塚越選手が決勝に出るときに一生懸命アドバイスしていました。そして塚越選手が何とかドナタス選手に勝利して試合場からおりてくると、そこで待っていた鈴木選手と握手して二人で抱き合って泣いていました。私はテレビの解説席でその様子を見てたんですけど、じーんときましたね。鈴木選手の責任感の強さは半端じゃないと感じましたし、彼の責任感も塚越選手の勝利をもたらした一つの要因だと思います。それに塚越選手の優勝の背後には、デニス選手を止めた塚本選手の功績もあります。重量級のみんなの頑張りがあって、板の差ではあるけれど、重量級の王座を奪還したといえます。その意味で塚越選手の優勝はみんなの勝利だと思いますね。
私が今大会でいちばん感動したのは、軽量級の決勝戦や重量級の決勝で、奥村監督、新保コーチ、川原コーチ、日本代表選手が一丸となって谷川選手や塚越選手を応援している姿でした。やはり代表合宿を通して、横のつながりというか強固な仲間意識ができて、「新極真の風が吹く」ではないですけど、彼らの気持ちが追い風になって決勝で戦う選手を後押ししてくれたんじゃないかと思います。
塚越選手が優勝インタビューで叫ぶように「塚本先輩、鈴木先輩、各師範方が応援してくれ、奥村監督、新保コーチ、川原コーチ、みんなに感謝してます」と言ってましたが、彼の優勝インタビューは本当に素直ですばらしかったですね。
―塚越選手の優勝の要因を分析してもらいたいと思います。
三好 今大会の彼は運も味方してくれましたね。二回戦のダニエルとの試合は僅差でした。この試合も私が主審してたんですけど、最終延長で副審の旗は2対2でした。私が塚越選手の勝ちをコールして塚越選手の勝利となったわけですが、それはダニエル選手の方に注意の反則があったからです。正直いってその差ぐらいしかなかったし、差がないときは反則があるかないか、そこをみるしかないということで塚越選手にあげました。準決勝の塚本選手との一戦でも、本戦をかろうじて引き分けに持ち込んでしのいだという感じでしたね。ドナタス選手との決勝も試割り判定です。この決勝は、どちらかというとドナタス選手にひやっとさせられる場面が多かったですよね。上段系の技が何回か間一髪で当たりそうな場面が何度もありましたけど、運良く当たらなかった。主審の小林副代表は、ドナタスの上段ヒザ蹴りは塚越選手の頭の上まできていたといっていました。上段廻し蹴りも頭の上を通っていましたから、いつ当たってもおかしくない情況でしたね。紙一重でそういう情況を乗り越えられたところに今大会に塚越選手の運があったと思います。

重量級優勝を決め、鈴木キャプテンの手を握る塚越選手 |
―塚越選手は、途中で気持ちがくじけそうになったが、みんなの応援で戦い抜くことができたと試合後語っていました。
三好 確かに塚越選手の目とか表情を見ていたら、延長、再延長でも負けていないんです。反対にドナタス選手の方がだんだんスタミナ切れてきたような表情になっていいきました。塚越選手のボディへの突きと下段廻しを、後半ドナタスがいやがっていましたしね。全体としてドナタスが前に出ていたという印象はありましたけど、塚越選手もまだまだいけるぞという感じでした。それにしても重量級の決勝は盛り上がりましたね。巨漢のドナタス選手の猛攻をうけ、日本の王座危うしという場面で、塚越選手が必死に反撃する姿があの盛り上がりにつながったんだと思います。そのなかで会場が一つになって塚越コールが起こりました。いい決勝だったと思います。
―ただ、この試合の舞台が海外だったらどうだろうという思いも、ふとよぎったのですが。
三好 会場の雰囲気も違うでしょうし、日本にとって厳しい結果になる可能性もないとはいえません。4年後のワールドカップの開催国として手をあげてきているのがリトアニアとロシア、カザフスタンです。最終的にどこで開催するかはWKOの国際理事会での調整になると思いますが、いずれにしても次のワールドカップは海外での開催になると思います。そういう意味でも日本としては安閑としていられませんね。
―次は女子について振り返ってもらいたいと思いますが、今大会の日本女子の成績はすばらしいの一言ですね。
三好 これは本当に大健闘というか、殊勲賞ものではないかと思います。ヨーロッパ勢などの強豪ひしめく女子のなかで軽・中量級の2階級をとったということは、奥村監督、川原コーチ、新保コーチの指導のたまものではないかと思います。女子の指導は主に新保コーチが担当してたんですが、わかりやすく指導してくれるもんですから、女子の代表選手たちはいままで知らなかったことをいっぱい教わったと言ってましたね。
―何がここまでの成績をもたらしたと思いますか。
三好 大きいのは女子選手の意識改革でしょうね。強化合宿で男子の軽量級の選手とスピードの速いスパーリングをやってみたり、重量級の選手の胸を借りてみたりとか、そういう経験を通して意識改革ができたのではないかと思います。また、集まれば代表選手メンバー同士で話をしますので、鈴木選手、塚本選手、新保・川原コーチといった人たちの経験談や技術論などの話を聞くなかで意識が変わってきたのではないでしょうか。
―女子では、準決勝が終わった時点で日本選手の軽量級と中量級優勝が決まりました。
三好 大会前から兼光のぞみ選手はかなりのところまでやってくれるだろうなと思っていましたが、まさか優勝できるとは思いませんでした。兼光選手、砂川選手は本当によくがんばりましたね。
―中量級では16歳の佐藤弥沙希選手の優勝にも驚かされました。
三好 いやあ、佐藤選手の優勝は誰が予想したでしょうかね。この中量級には福田選手もいるし山口選手もいますので、けっこうおもしろいなと思ってはいたんですけど、まさか決勝が日本人同士というのは予想できなかったですね。期待された森選手は二回戦でヨーロッパチャンピオンのアンカ選手に敗れましたが、彼女の才能からいったらまだまだ力を出しきれていません。まだ彼女も20歳なのでこれからです。この大会の経験を生かしてもっと伸びてもらいたいですね。
―重量級は優勝こそできませんでしたが、日本人にとって体格的に最も不利なこの階級でよく健闘しました。
三好 特に野口歩選手の頑張りには驚きました。あそこまでやるとは正直思わなかったですね。野口選手がベロニカ選手と対戦することになったとき、これは全然歯がたたないのではないか、怪我をしなければいいがと心配してたんですよ。ところがフタをあけてみると野口選手は延長まで頑張りました。この試合を見て、やっぱり強化合宿や先輩たちの話を聞くなかで、女子は急速に意識改革が進んできているなということを感じました。野口選手は3位決定戦でも完勝しましたが、この女子重量級のメンバーのなかでの3位入賞というのはすばらしいですね。大殊勲ですよ。
―今度のワールドカップで、日本女子は世界に通用するレベルにあることが確認できたといえますね。
三好 世界の中で今の日本女子がどのくらいのレベルにあるかということについては、砂川久美子選手や福田美み子選手がワールドカップ前にカザフスタンに遠征に行き、試合をして結果を残すことで確認できたことも大きかったと思います。彼女たちが帰ってきてみんなにそういう話をすれば、自分たちもやればできるんだと、みんなの自信にもなるわけですよ。それだけに経験というのは大事だし、強化合宿などで顔をあわせて情報交換の場をもつということも非常に大事ですよね。もちろん、今回のワールドカップではすばらしい結果を出すことで、さらに大きな自信になったと思います。 ―第9回全世界大会では、女子の世界大会も併せて開催されるということですが。 三好 そうですね。次の第9回全世界大会からは、無差別の女子の世界大会も32名枠であわせて行うことになると思います。無差別ですから軽量級や中量級の選手でも、重量級の不動のチャンピオンであるヴェロニカ選手と闘うチャンスはあるわけです。実際にヴェロニカ選手を破るのは厳しいでしょうけれども、いずれにしても女子選手の励みになりますよね。この選手強化委員長として女子世界大会を目標に、日本女子のさらなる強化をはかりたいと思います。
―どうもありがとうございました。 |