| 第4期ユース・ジャパン強化メンバーが続々と富士のふもとに集まってきた。10月31日から11月2日の3日間、山梨県にある富士緑の休暇村で行われた強化合宿には、過去最多となる218人が参加した。
ユースジャパンは年々、拡大化している。昨年は小学6年生以上だったが、今年からは小学5年生までが選考枠に加わった。さらに、Aランク、Bランクに加え、新たに特Aランクが設けられ、島本雄二、河瀬俊作、将口恵美、増子麻理の4人が選出された。
規模が大きくなっているのは、彼らに対する期待の表れであり、特Aランクの誕生は、その中から日本を代表する選手が生まれたことの証と言えるだろう。
「自分がこの合宿を盛り上げていかなければならない」
意気込みを聞かれ、こう語ったのは、今年のキャプテンに任命された島本雄二だ。人一倍大きな声を出して稽古に臨んでいた。島本に副キャプテンの緑強志と将口恵美が続き、まるで連鎖反応のように、次々と他のメンバーも声を張り上げていった。
「伝統・継承」
これが今回のテーマだ。世界王者の塚越孝行、今年の全日本大会で新王者に輝いた山田一仁をはじめ現役のトップ選手など、そうそうたるメンバーがコーチとして直接、指導に当たった。
なぜ、ユース選手が一般部の選手に混じりながらも、大会で結果を残せているのか。その最大の要因こそ、このテクニックセミナーにあるのかもしれない。
最強のコーチ陣が、それぞれ基本的な技術の復習から、勝負を決めた最先端の技術まで、自分たちの持っているものを惜しげもなく伝えていく。そこには、空手母国・日本の威信を今後も守り続けていってほしいという大きな願いが込められている。
第6回世界大会王者の塚本徳臣は、後輩たちに技術を教えることについてこう話していた。
「今はまだ技とも呼べないような動きでも、近い将来、この子たちがそれを進化させ、技術として完成させてくれればいい。そして彼らが強くなれば、こんなにすばらしいことはないですからね」
コーチ陣の一挙手一投足を見逃すまいとするユース選手の眼差しは、真剣そのものだった。彼らの貪欲さを感じ取った緑健児代表が、急きょ、当初予定されていなかった自身のテクニックセミナーを行うほどである。全員が「伝統・継承」に一丸となっていた。
セミナー後に行われた連続組手では、学んだばかりの技術を使いながら、ライバルたちが何度も拳を交える。体育館のいたるところで、試合と錯覚するほどの激しい打ち合いが繰り広げられた。さらには、小学生がAランクの選手に挑戦する場面も見られた。合宿は当然のように熱を帯びたものとなっていった。
各稽古の最後に行われたのが、スーパーサーキット。これこそ、合宿最大の試練だったと言える。
腕立て、腹筋、スクワットなど、9種類のメニューを3分間でこなしていく。これが1セット。休むことなく全身を動かし続けるこのトレーニングは“過酷”という言葉がピッタリ当てはまる。
初日は2セット、2日目の朝稽古は3セットを徐々に回数が増えていき、最終日には5セットをこなした。今年は、選ばれた選手がステージの上で行い、回数を教えてもらい、競い合うという方法がとられた。苦悶の表情を浮かべる選手たち。悲鳴に近い声を発しながら自らを奮い立たせ、全員がこれを達成した。
合宿全体を通して、肉体的、精神的に相当苦しかったことだろう。ただ、これを乗り越えた彼らは、「心・技・体」すべての面で、合宿前とは大きく変わったはずだ。
体力的についてこられるか不安視されていた小学5年生も、無事に乗り切った。今年はテストケースとしての参加だったが、この合宿で彼らのがんばりが認められ、来年からは正式なメンバーとして迎え入れられることが決定した。
この合宿は、ユース選手を空手家としてだけではなく、人間としても大きく成長させたに違いない。彼らは稽古の時も、つねに協力し、励まし合いながら過ごした。他では経験できない貴重な3日間となったはずだ。
受け継がれている新極真の魂。今年もまた、確実に彼らに継承された。そう遠くない将来、彼らが新極真会の中心となっていることだろう。
(空手LIFE 2009年1月号) |