第25回全関西空手道選手権大会

2010年6月20日 大阪・岸和田市総合体育館




支部の仲間たちの期待にこたえ、見事にブロック大会王者となった森下。
 

大阪神戸湾岸支部の初主催により開催された今年の全関西大会。地元の期待を一身に背負い一般男子上級の部に出場した森下穣は、大会前から主役と言っていい存在だった。
「これまでにないプレッシャーを感じた」という森下だったが、順当にトーナメントを勝ち上がり決勝進出を果たした。

決勝の相手となったのは、同じユース世代の酒井瑞樹。20kg近い体格差もさることながら、酒井は昨年の全関西大会で敗れた梅田直紀に準決勝でリベンジを果たし、勢いに乗っていた。いくらホームグラウンドでの闘いとはいえ、森下にとって簡単に勝てる相手ではなかったはずだ。

そんな森下を勝利へと導いたのは、師匠である高橋誠支部長の声援だった。

試合が始まると、森下は左に回りながら下段とヒザで酒井を攻めていく。酒井も重量級の体格を生かしながらジリジリと圧力をかけていく。



決勝。森下は体格差にひるむことなく積極的に攻めていった。

本戦はほぼ互角の展開。試合は延長にもつれ込んだ。すると、これまで本部席で大会を見守っていた高橋誠支部長が、応援団の中に入り、大声でアドバイスを送りはじめた。

「今までは延長、再延艮になると気持ちが折れてしまうことがありましたが、今回はみんなの声援に混じって帥範の声が聞こえてきたので、最後まであきらめずに闘うことができました」  延長を経て最終延長にもつれ込むと、森下は巧みにペースを握り、優勝をもぎ取った。



優勝にあと一歩まで迫った酒井だが、後半になるにつれ手数が少なくなっていった。


高橋支部長も加わっての大応援団が森下を後押しした。
 
本部席の緑健児代表に深々と頭を下げて報告。

優勝した森下を高橋支部長がねぎらった。
 
大役を果たした森下を支部の仲間たちが拍手で祝福した。

決勝戦直前には、兄・裕樹が「絶対いけるからあきらめるな」と送り出してくれた。この優勝は高橋支部長や仲問たちに支えられてのものだったと言えるだろう。

昨年の第2回ドリームカップで高校3年生軽量級の部を制したことで、ジュニアでの試合に一区切りをつけた。今年に入ってからは中量級に転向し、新たなスタートとなったが、一般部でブロック大会を制したことは、今後の大きな自信につなかったに違いない。

全日本ジュニア、そしてドリームカップに11年連続で出場し、5度の優勝を飾ったジュニア生え抜きの選手が、一般部の大会で初めて結果を出した瞬間だった。

 
3位決定戦は他流派の16歳、安部僚将が梅田直紀を再延長の末に破った。

開会式では選手宣誓も務めた森下。
 
閉会式であいさつをする高橋支都長。


さらに飛躍する新世代の可能性

現在のユース世代の選手たちにとって、一般部でも実績を残すことは大きなテーマだ。ここ数年、ブロック大会や県大会では、ユース選手の活躍ばかりが目立っていた。しかし、最近では昨年の全関西大会を優勝した安村哲や、今年の全四国大会を制した辻健介のように、ベテラン、中堅世代の巻き返しも見られている。

第27回ウエイト制大会の1ヵ月後に開催された今年の全関西大大会。森下と酒井にとってはこれがリスタートであるとともに、あらためてユース世代の力を見せつける舞台でもあったと言える。

森下は初戦となる準々決勝で、ベテランの向井正志から上段ヒザ蹴りで一本勝ちを収めると、続く準決勝では他流派の新鋭、安部僚将を本戦で破り、決勝進出を決めた。酒井も、準々決勝で田中康啓を本戦で下すと、続く準決勝で昨年の全関西大会で敗れた梅田直紀を最終延長の末に制し、決勝までのぼり詰めた。

 
準優勝となった酒井だが、着実に成長のあとを見せている。


森下の準決勝。他流派の安部僚将を本戦5−0で圧倒し、決勝ヘコマを進めた。
 
初戦では向井正志から上段ヒザ蹴りで一本勝ちを奪い、好調なスタートを切った。

酒井の準決勝。昨年の全関西大会で苦杯をなめさせられた梅田直紀に最終延長で雪辱。
 
酒井は初戦では田中康啓を本戦5−0で破り、準決勝へ進出した。

優勝した森下は、これが一般部の大会で初の栄冠となった。地元開催のプレッシャーの中でのブロック大会初制覇は、森下本人が「以前よりも強くなれたと思う」と語ったように、今までよりワンランク高いステージヘのぼらせることとなったはずだ。

敗れた酒井も準優勝という結果をくやんではいたものの、「梅田選手に借りを返せたのがよかったです。咋年の全関西、今年の全四国に比べて成績を上げられたことも素直にうれしい」と語った。大きな収穫を手にしたようだ。

これまでも全関西大会や全四国大会に出場してきた酒井だが、ベテラン・中堅世代の選手たちの前に涙をのんできた。今回、優勝には届かなかったが、かつて敗れた相手へのリベンジに成功した上に、新世代同士の決勝戦を実現できたことは自信を取り戻すきっかけとなっただろう。

森下、酒井はいずれも昨年のドリームカップの王者でもある。両者が一般部の大会で上の世代の選手を下し、優勝争いを繰り広げたことは、ドリームカップ王者が一般部でも十分に通用するレベルであることの証明とも言える。この事実は、今年のドリームカップに出場する選手たちにとっても、大きな自信となるに違いない。

 
緑健児代表が開会式で全選手に向けてエールを送った。

休憩中には少年部の生徒たちが力強い演武を見せた。
 
ルール説明を行なったのは、塚本徳臣と阪本晋治。

特別ゲストのシンガーソングライター、もんたよしのりさんが国歌独唱を務めた。
 
大会会長を務める元文部科学副大臣の松浪健四郎氏があいさつし、出場選手を激励した。

本部席では多くの関係者が大会を見守った。
 
骨髄バンクチャリティーの贈呈式も取り行なわれた。

今大会の入賞者と支部長・責任者たち。




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