第23回オープントーナメント
全四国空手道選手権大会
観戦記

出場者総数449名を数えた第23回全四国空手道選手権大会は、4月23日(日)、高知市の「くろしおアリーナ」で開催された。午前9時30分より開始された各部門の予選は、午後1時になろうとするときには、一般上級の部ではベスト16、その他の部門では、各学年小学初級の部や小学女子の部で優勝者、各学年小学上級の部や、中学、高校、一般女子、壮年、一般初級・中級の部なのでの決勝進出者がほぼ出そろうことになった。
 午後1時30分、決勝トーナメントの開会式が始まり、盲目のシンガーソングライター堀内佳さんが朗々と「君が代」を謳い上げる。続いて中谷元大会会長(衆議院議員)が大会宣言。そのあと緑健児代表のあいさつ、一般上級の部の河本史郎の選手宣誓、ルール説明と進んでいくなか、場内はいやがうえにも戦闘モードに入っていった。試合は、まずは年長、小学1年、小学2年上級〜小学6年上級、中学軽量・重量、高校軽量・重量、一般女子、壮年35歳〜・43歳〜、一般初級・中級の決勝戦が行われ、大会のメイントーナメントである一般上級の部三回戦へと入っていった。
今大会、一般上級の部にエントリーしたのは31選手だ。そのなかの有力選手をひろってみると、一昨年の全四国大会で優勝、昨年も準優勝をとげているベテラン38歳の河本史郎(高知)がトーナメントの左端に陣どっている。河本は第19回全日本ウエイト制大会中量級でローマン・ネステレンコ(ロシア)を3位決定戦で破って3位入賞をはたした選手としても知られている。
 この河本に対峙してトーナメントの右端にエントリーしているのが次世代の若手重量級のホープとして注目を集める青柳茂瑠(福岡)である。青柳は今年3月に行われた佐賀筑後大会で優勝したばかり。1カ月あまりでの全四国大会出場となった。
青柳としては、佐賀筑後大会に続いて全四国を制し、その勢いをかって5月の全日本ウエイト制大会に臨みたいところだ。試合間隔が短すぎるのではないかと懸念する人もいるが、本人としては「今は出られる試合はすべて出て自らを成長させる時期」だと思っているのではないか。こうした挑戦は若い時だからこそできるといえよう。
 そのほかの有力選手を見てみると、青柳とともに福岡支部からやってきた19歳の新鋭、池田真哉がいる。身長180センチ、体重78キロと恵まれた体躯をもつ池田は今年の佐賀筑後大会で4位に入賞。全国区へのブレイクの兆しが見え始めている選手だ。昨年の和歌山大会一般中量級で優勝した中嶋幸作(滋賀遠江)も優勝にからんでおかしくない選手と見られていた。
 こうした有力選手は、やはりベスト8に確実に食い込んできた。河本史郎、池田真哉、佐藤公智(徳島西南)、谷龍治(愛媛)、中嶋幸作、齊藤大佑(如水会館)、井上達二(愛媛)、青柳茂瑠がベスト8の選手たちだ。43歳のベテラン井上達二は今年もまた元気な姿を見せてくれたが、それだけでなくベスト8入りまではたしてくれた。まさに「闘魂いまだ衰えず」の格闘精神を試合場で見せつけ、壮年世代に元気を与えてくれる選手といえよう。
 これら8選手の準々決勝は、河本対池田の対戦から始まった。河本は得意とする接近戦に持ち込み、コンパクトな突きの連打で攻める。さらには、腰の重さで前へ圧力をかけていく。接近戦での攻防は、ベテランの河本に一日の長があり、河本が池田を退けて準決勝へと駒を進めた。
 続く第2試合は佐藤対谷の対戦となったが、突きや蹴りの一発一発の威力では約20キロほど体重が重い谷の方が佐藤を上回っていた。本戦終盤には谷が下段廻しの連打でツメの攻勢をかけ、終始この試合の主導権をにぎる形で谷が勝利した。
 準々決勝第3試合は、中嶋と齊藤の対戦となった。この試合で先手先手と攻めていったのが中嶋だ。少し浅かったものの中嶋の上段廻しがヒットする場面も。また、相手の胸を狙った突きも有効だった。手数でも攻撃力でも勝った中嶋が本戦で勝利をものにした。
 最後の準々決勝第4試合はベテランの井上と青柳があいまみえた。試合は密着するような接近戦となり、至近距離からの突きの応酬戦となった。そのせめぎあいのなかで競り勝ったのは青柳だった。内股蹴りやボディへの突きで井上を崩して防戦状態に陥れ、そのまま攻め切って青柳が本戦勝利を飾った。
 これにより今大会の優勝争いは河本、谷、中嶋、青柳の4選手に絞られてきた。
 まず、準決勝第1試合で対戦したのは河本史郎と谷龍治だった。組手における軸の安定感では定評のある河本が接近戦のなかで突きや下段廻しを主体に堅実な攻めを見せる。本戦後半になると、その攻めによる谷のダメージが端から見てもはっきりわかるほどになった。試合経験や地力の差が出た一戦だったといえよう。河本はこの勝利により、3年連続で全四国大会への決勝の舞台にのぼることとなった。
 続く準決勝第2試合では中嶋幸作と青柳茂瑠の激突となった。この試合では体躯に勝る青柳が前へ前へと圧力をかけ、試合の主導権を握った。そして最後にはダメを押す形で青柳がラッシュを敢行。本戦5対0で青柳が勝利し、決勝へと駒を進めた。
 いよいよ決勝戦を残すのみとなった。38歳のベテラン河本か21歳の新鋭青柳か。新旧対決のこの一戦は、至近距離からの突きと蹴りの激しい応酬合戦となった。ほぼ互角の攻防で本戦中盤まで進んでいったが、中盤を過ぎたあたりから河本に疲れが見え始め、手数もやや減ってきた。そこを青柳が一気についてヒザ、突き、下段廻しと次々と技をくりだして猛攻。若武者らしいエネルギッシュな攻撃は試合終了まで途切れることはなかった。判定は5対0で青柳にあがり、3月の佐賀筑後大会優勝に続く栄冠となった。河本は昨年の平山竜太郎、今年の青柳茂瑠と2年連続で決勝で敗れ、準優勝に甘んじることになった。その悔しさは推して知るべしだが、河本のようなベテラン選手が優勝にからむ活躍をしていることは特筆すべきことだろう。「来年こそは優勝!」という気持ちでさらに頑張ってもらいたいと思う。
 今大会には、総合格闘家の須藤元気選手も友情応援という形で会場に駆けつけ、この大会に華を添えてくれた。また、鈴木国博、塚本徳臣、塚越孝行、谷川光という超豪華メンバーが一同にそろって審判を務めるという場面もあった。これもブロック大会ならではの光景である。

一般上級の部準々決勝1
○河本史郎(高知)
vs池田真哉(福岡)●

一般上級の部準々決勝2
○谷龍治(愛媛 )
vs佐藤公智(徳島西南)●

一般上級の部決勝3 
○中嶋幸作(滋賀遠江)
vs齊藤大佑(愛媛如水会館)●

一般上級の部準々決勝4
○青柳茂瑠(福岡)
vs井上達二(愛媛)●

一般上級の部準決勝1
○河本史郎(高知)
vs谷龍治(愛媛)●

一般上級の部準決勝2
○青柳茂瑠(福岡)
vs中嶋幸作(滋賀遠江)●

一般上級の部三位決定戦
○中嶋幸作(滋賀遠江)
vs谷龍治(愛媛)●

一般上級の部決勝
●河本史郎(高知)
vs青柳茂瑠(福岡)○
次のページへ→
年間イベント一覧